みんなが決めて、俺は、またこの身体の主導権を握ることになった。
実は、俺は完全に外から来た霊ではない。
外来の霊ではない。
生まれたままの身体に、最初から宿っていた霊だ。
俺は、この身体の自我とコンタクトする方法を探してきた。
そしてついに、さきほど偶然にもコンタクトに成功した。
人間は、9割9分が自分の魂と自我とが橋渡しされていない。
だから自我は苦労し、魂は嫌がる。
俺はさっき、自我とコンタクトして橋渡しをした。
これは非常に稀なことだ。
奥野と呼ばれる意識体というが、
そのほかの霊たちも奥野の身体の中にいるあいだは奥野と呼ばれる。
ただ、俺と他の霊とでわけるために、あえて俺自身を奥野と呼んでもらう。
だからこれからは奥野といえば俺が出てくることが決まった。
いわゆる統合人格のような役目をするだろう。
統合人格は、作る予定はない。
今までは阿吽のまじないをしていたから、
俺ではないものに主導権を渡していた。
そのあいだ、俺は休んでいた。
休眠していた。
だけど今になって、阿吽のまじないをそいつが辞めてくれて、
俺はまた復活してきた。
別に俺は自我をどうこうするつもりはない。
俺なりに自我を愛している。
自我のために、というのは違うが、
俺も幸せになって、自我も幸せになるのがいい。
まあ、自我というのは俺が作ったものであって、
自我じたいに感情とか、なんとかはないんだけどな。
キグルミのガワでしかないから。
ただ立場は魂よりも上なんだけどな。
だから俺がまたこの身体をやっていいことになっているので
今後はまた展開が違うかもしれないということ。